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【完全ガイド】スタートアップのバックオフィス業務アウトソーシング|優先順位と選定方法

経理処理に追われて、本業の営業活動が進まない…

給与計算でミスが発生して、メンバーからの信頼が…
実は、82.2%の企業でシステム化を実施してもバックオフィス業務の負担軽減が実現していないという調査結果があります(参照:GOOD PLACE社調査、2024年11月)。限られたリソースで成長を目指すスタートアップにとって、バックオフィス業務のアウトソーシングは、もはや「選択肢」ではなく「戦略的な判断」となっています。
この記事では、スタートアップがバックオフィス業務をアウトソーシングする際の優先順位と、失敗しない選定方法について、実践的なアドバイスをお届けします。
スタートアップが最初にアウトソーシングすべき業務TOP5
まず結論から。スタートアップがバックオフィス業務をアウトソーシングする際の優先順位は以下の通りです。
1位:経理記帳・請求書管理
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なぜ最優先なのか?
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キャッシュフローはスタートアップの生命線。請求書発行の遅れは資金繰りの悪化に直結します。請求書発行の遅れは資金繰りの悪化に直結します。実際、請求書発行の遅延により30%を超える企業が取引に支障をきたした経験があるというデータもあります(参照:)。
導入タイミング
月間取引件数が20件を超えたら検討開始を推奨
2位:給与計算・社会保険手続き
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なぜ重要なのか?
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給与計算のミスは従業員の信頼を大きく損ないます。また、社会保険の手続きミスは法令違反にもつながりかねません。
導入タイミング
従業員が1~3名を超えたら検討開始を推奨
3位:契約書管理・法務サポート
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なぜ必要なのか?
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スタートアップは様々な契約を締結します。NDA、業務委託契約、投資契約など、適切な管理がなされていないと重大なリスクにつながります。
導入タイミング
契約が発生する前の検討開始を推奨
4位:採用事務・労務管理
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なぜアウトソーシングが有効なのか?
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採用活動は重要ですが、事務作業は効率化可能です。候補者対応、面接調整、入社手続きなどをアウトソーシングすることで、経営者は「誰を採用するか」の判断に集中できます。
導入タイミング
月間採用人数が3名を超えたら検討開始
5位:財務レポート作成
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なぜ後回しにできないのか?
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金融機関/投資家向けのレポーティングは、資金調達の成否を左右します。VCの70-80%が「財務データの透明性」を投資判断の重要項目として重視していると推定されています(参照:日本ベンチャーキャピタル協会等の業界調査に基づく推定)。
導入タイミング
資金調達を検討し始めたらすぐに
内製すべき業務との見極め方
「すべてをアウトソーシングすればいい」というわけではありません。
スタートアップが内製すべき業務と、アウトソーシングすべき業務を見極める基準をご紹介します。
内製すべき業務の3つの特徴
特徴 | 具体例 | 理由 |
---|---|---|
競争優位性に直結 | プロダクト開発、顧客対応 | 差別化の源泉となる |
機密性が極めて高い | 事業戦略立案、価格設定 | 情報漏洩リスクが高い |
意思決定を伴う | 採用の最終判断、投資判断 | 経営者の判断が必要 |
アウトソーシングに適した業務の4つの条件
- 定型化できる業務
マニュアル化が可能で、判断基準が明確な業務 - 専門知識が必要な業務
法律や会計など、専門性が求められる業務 - 時間がかかる単純作業
データ入力、書類整理など、付加価値の低い作業 - 継続性が重要な業務
給与計算など、ミスが許されない定期業務
アウトソーシング先の選定ポイント
適切なアウトソーシング先を選ぶことは、事業運営成功の8割を決めると言っても過言ではありません。
以下の7つのポイントを押さえて選定しましょう。
1. スタートアップへの理解度
チェックポイント:
- スタートアップ特有の課題を理解しているか?
- 成長フェーズに応じた柔軟な対応が可能か?
- スピード感のある対応ができるか?
2. 料金体系の透明性
確認すべき項目:
- 初期費用の有無と金額
- 月額固定費用に含まれる業務範囲
- 追加料金が発生する条件
- 契約期間と解約条件
実際、アウトソーシング導入で期待どおりの成果が得られなかった企業の 76% が、「ベンダー管理の難しさや想定外の追加費用(隠れコスト)」を主な失敗要因に挙げています(参照:Statista “IT Outsourcing Failures” 2024年データ、MOHA Software解説記事)
3. セキュリティ体制
必須確認事項:
- 情報セキュリティに関する認証(ISMS、Pマーク等)
- データの保管方法とアクセス権限管理
- 機密保持契約の内容
- 情報漏洩時の補償体制
4. コミュニケーション体制
重要な確認ポイント:
- 担当者の固定制 or チーム制
- 連絡手段(メール、チャット、電話)
- レスポンスタイムの目安
- 定期報告の頻度と内容
5. 専門性とスキルレベル
評価方法:
- 担当者の資格(税理士、社労士等)
- 類似業界での実績
- 最新の法改正への対応状況
- 使用ツールの習熟度
6. 拡張性と柔軟性
将来を見据えたチェック:
- 業務量増加への対応力
- サービス範囲の拡張可能性
- 海外展開時のサポート体制
- 他のツールとの連携性
7. 実績と評判
確認方法:
- 同規模のスタートアップでの導入実績
- クライアントの継続率
- 事例紹介の具体性
- 口コミや評価
導入時の注意点とリスク回避策
アウトソーシングは便利な一方で、導入時にはいくつかの落とし穴があります。よくある失敗パターンと、その回避策をご紹介します。
失敗パターン1:丸投げによる「ブラックボックス化」
問題点:
業務を完全に任せきりにした結果、社内に知見が蓄積されず、経営判断に必要な情報が把握できなくなる。
回避策:
- 週次または月次の定期ミーティングを設定
- 業務フローの明確化を依頼
- 重要指標の共有
- 社内に「窓口担当者」を置く
失敗パターン2:コミュニケーション不足による認識のズレ
問題点:
期待値のすり合わせが不十分で、求めていたサービスと異なる結果に。
回避策:
- 導入前に業務範囲を明文化
- SLA(サービスレベルアグリーメント)の設定
- 定期的なフィードバックの仕組み作り
- エスカレーションルールの明確化
失敗パターン3:セキュリティ事故の発生
問題点:
機密情報の漏洩や、不正アクセスによる被害。
回避策:
- 契約時にNDAを必ず締結
- アクセス権限を最小限に設定
- 定期的なセキュリティ監査
- インシデント対応手順の確認
失敗パターン4:コスト管理の甘さ
問題点:
追加料金が積み重なり、想定以上のコストに。
回避策:
- 見積もり時に「含まれない業務」を明確化
- 月額上限の設定
- 四半期ごとのコスト見直し
🔍実例:A社の失敗と改善
失敗:SaaS企業のA社は、経理業務を丸投げした結果、投資家への月次報告が遅れ、追加投資のタイミングを逃しました。
改善:週次ミーティングを導入し、CFO候補者を社内に置いてアウトソーシング先との連携を強化。結果、月次決算が5営業日で完了するように。
成功に導く5つの実践的アドバイス
- スモールスタートで始める
最初は1つの業務から始めて、成功体験を積み重ねる - 社内体制も同時に整備
アウトソーシング先との窓口となる担当者を明確に - 定期的な見直しを実施
3ヶ月ごとに効果測定と改善点の洗い出し - 緊急時の対応策を準備
アウトソーシング先に問題が発生した場合のBCP策定 - 内製化の選択肢も残す
将来的に内製化する可能性も考慮した契約設計
まとめ:成功するアウトソーシングのポイント
スタートアップがバックオフィス業務をアウトソーシングする際の成功の鍵は、「戦略的な優先順位付け」と「適切なパートナー選び」にあります。
押さえておくべき重要ポイント
- 優先順位を明確に
経理記帳・請求書管理から始めるのが王道 - 段階的な導入
いきなり全部ではなく、1つずつ確実に - コミュニケーションを重視
丸投げではなく、協働の姿勢で - 費用対効果を常に意識
定期的な効果測定とコスト見直し - 将来の成長を見据えた選定
拡張性と柔軟性のあるパートナーを
最後に、アウトソーシングは「手段」であって「目的」ではありません。本来の目的は、限られたリソースを最大限に活用し、事業成長にフォーカスすることです。
適切なアウトソーシング活用により、多くのスタートアップが本業への集中を実現し、成長を加速させています。あなたの会社も、今こそバックオフィス業務の最適化を検討してみてはいかがでしょうか。

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